ヴァシュロン・コンスタンタンからの究極のメティエダール「ONE OF NOT MANY CRAFTS PROGRAMME」~6職人の超絶技巧で動物王国への敬意を表する6作品
From : VACHERON CONSTANTIN (ヴァシュロン・コンスタンタン )工芸プログラム:「ONE OF NOT MANY CRAFTS PROGRAMME」~メティエ・ダール - 動物王国へ敬意を表して -。時計製造分野では珍しい技巧を取り入れたミニアチュール芸術シリーズ
ヴァシュロン・コンスタンタンは、時計製造の職人技の未来を育むことを目的としたメゾンの「One of Not Many Crafts Programme」の一環として制作した、6つのコンセプトウォッチからなるシリーズ「メティエ・ダール - 動物王国へ敬意を表して -」を発表します。
このプロジェクトには、時計製造にまつわる伝統的な異なる分野の工芸において活動を行う6人の職人を招き、彼らの技を時計のダイヤルへと昇華させるという課題に挑んでもらいました。それぞれのタイムピースは、独自の芸術的解釈で野生動物を異なる工芸技法を通じて表現し、ダイヤル上に命を吹き込みました。これは、キャリバー2460 G4と、その周辺部に配置された時刻・日付表示によって、ダイヤルの表面が創造性を表現するためのキャンバスとして実現したのです。
工芸における技術革新:新たなアプローチを通じて、時計製造における職人技の未来を育む
1755年の創業以来、創造的な取り組みの保護と継承は、常にヴァシュロン・コンスタンタンの中核を成してきました。
この長年にわたる取り組みにより、メゾンはギヨシェ彫り、彫金、エナメル装飾、ジェムセッティング、の「メティエ・ダール」を専門とする工房を統合しています。これらは、高級時計製造において代々受け継がれてきた伝統的な装飾芸術です。
メゾンは未来を見据え、ルーヴル美術館やメトロポリタン美術館をはじめとする文化機関と関係性を築いてきた一方で、アーティストや職人を支えてきました。また一般の人々の芸術への理解や教育、関心を促進する目的とした取り組みを通じて、彼らの活動を支援しています。

ヴァシュロン・コンスタンタンは工芸プログラム「One Of Not Many Crafts Programme」を通して、時計製造に使われる技巧の革新を促進する取り組みを続けます。この取り組みに参加したのは、時計製造に関連する伝統的な工芸分野の枠にとらわれずに活躍するアーティストたち。
時計のダイヤルというごく小さなキャンバスに、完璧に機能するタイムピースという技術的な制約を尊重しながら、独自の技巧を披露する難題に挑みました。

「ヴァシュロン・コンスタンタンの使命は、高級時計製造の限界を絶えず押し広げながら、創造と革新を追求することです。これは、独自の技術を先駆けて開発し、比類なき技術的卓越性を発揮することで実現されており、その過程で、時計製造においてこれまでに例を見ない工芸技法を積極的に取り入れることも少なくありません。メゾンは、何世紀にもわたるノウハウを確実に継承しつつ、絶えず多様な新分野を探求し、その技術を習得し続けています」と、プロダクト&クリエイション ディレクターのサンドリン・ドンガイはコメントしています。
このプログラムは、卓越した芸術性を育み、かけがえのないノウハウを保護するためのヴァシュロン・コンスタンタンの継続的な取り組みの一例です。伝統的な時計製造に用いられるメティエ・ダールを超えて支援を提供することで、メゾンは芸術創作のエコシステムの拡大に積極的に貢献しています。これは、時計製造分野における新しい創作手法の模索を促進するだけでなく、さまざまな分野を通して人間の技術と芸術的な表現の重要性を強化するアプローチであり、今後何世代にもわたりその意義と発展を確かなものにします。

「工芸プログラム『One Of Not Many Crafts Programme』は、時計製造においてあまり組み合わせることがない技巧を時計のダイヤルに取り入れることで、時計製造分野におけるメティエ・ダールの創造的な表現力をさらに豊かにしました。このアプローチは、既存の枠組みを超えた思考を促し、時計製造という制約の中で、芸術表現の可能性を広げる創造性を育む手段なのです」と、ヴァシュロン・コンスタンタンのレガシー&スタイルディレクター、クリスチャン・セルモニは言います。

完成したタイムピースは、独立した職人とメゾンに所属する専門家との対話から生まれ、双方にとって、これまで馴染のない技術的および創作上の難題に立ち向かうことが求められました。この交流を通して、新しい工具、技術、作業方法が誕生し、参加したアーティストとヴァシュロン・コンスタンタンに所属する「メティエ・ダール」の専門家たちのノウハウがさらに豊かになりました。

6つのコンセプトウォッチは、それぞれが特徴的な技巧に深く根差し、独創的な芸術表現を呈するものです。金線刺繍、羽根細工、ウッドマルケトリー、ガラス細工、ペーパーアート、折り紙。6つの分野、6人のアーティスト、そして小さな芸術作品である6つのダイヤル。そのすべてが、ヴァシュロン・コンスタンタンが愛し、長きにわたりインスピレーションの源としてきた動物から着想を得ています。

卓越した職人技と芸術的なビジョンを示す作品はどれもが独自の価値を持つ芸術品であり、ヴァシュロン・コンスタンタンの時計師たちもまた、キャリバー2460 G4の機能や仕上げを各作品の全体的な美学にシームレスに融合させるよう調整し、芸術と高級時計製造の調和を実現しました。このキャリバーは、ダイヤルの四隅にある4つの窓に時、分、曜日、日付を表示するという斬新な表示システムが特徴です。芸術表現のためにダイヤル全体を開放することで、メティエ・ダールの創造性が主役となるのです。

このコレクションには、さらに2つの象徴的な要素が組み込まれています。そのひとつは、22Kゴールド製ローターです。
本シリーズのために特別に設計されたもので、職人技への敬意を表し、職人が用いる道具から着想を得たモチーフが手作業で彫金しています。また、それぞれのタイムピースに、ダイヤルの視覚的なデザインに呼応するモチーフをエンボス加工した専用のストラップが付属します。
ミニアチュール制作の極意:これまでにない意外な素材と技巧でダイヤルの奥行きを表現した6つのコンセプトウォッチ
6人のアーティストたちが、ごく限られたダイヤルスペースに立体的な制作という課題に初挑戦し、タイムピースを芸術的な実験の場へと変貌させるプロジェクトです。
直径42mmのケースという厳格なサイズ制限の中、ダイヤルの表面とそれを保護するサファイアクリスタルとの間の厚さがわずか4mm、アーティストたちは、それぞれ技巧を根本から見直すことを余儀なくされ、従来は大規模な作品に用いられてきた技術を高級時計製造の微小な世界にへと応用させる必要がありました。
羽根細工、ガラス細工、ペーパーアート、金線刺繍、ウッドマルケトリー、折り紙を、長期にわたり研究と試作、そしてまったく新しい道具やプロセスの発明を通して、限界を押し広げました。

このプロジェクトでは、アーティストと、メゾンの時計師および職人との間で、互いを高め合う対話がなされました。技術的な問題を解決し、完璧に機能するタイムピースの繊細な構造に彼らの芸術作品を組み込むには、小型化技術に関する専門家の知識が不可欠でした。
その結果、伝統技巧を小さなスケールでダイヤルの上に再解釈し、時計製造分野におけるメティエ・ダールの創造性豊かな表現力が大きく広がりました。このプロジェクトのために選ばれたインスピレーションの源であり、6つの時計すべてを結びつける共通のテーマである「動物の世界」が、前衛的な視点から再解釈した作品となりました。
メティエダール動物王国へ敬意を表して - ヘビ羽根細工
ダイヤルを彩る美しい景色の中で、身体をくねらせる空想上のヘビ。これに命を吹き込むために羽根細工が選ばれました。
表面からわずか3mmの高さに浮かびあがるヘビは、驚くほどのボリューム感としなやかさを感じさせます。アーティストが最大限のボリュームを表現できるよう、羽根を支えるために特別に開発された金属製のアプライドが、この複雑な立体効果を可能にしました。

羽毛の自然な虹色の艶が光の反射により表情を変え、さらに深みのある印象が生まれています。稀少なロフォフ ォアの羽根7枚から切り出された200以上の小さなパーツを使って、丁寧に創作された傑作です。この繊細なパーツを極めて正確にカットできるよう薄葉紙に貼り、本物そっくりな鱗を表現し、ブルーグリーンの色彩にきらめくヘビが形成されました。周囲の植物と背景にはガチョウの羽根が使われています。

極小羽根細工の達人であるこのアーティストは、作品の制作にあたり、まず羽根の中心にある軸を取り除きました。過度な厚みをなくし、羽枝の繊細な構造を保持するためです。次にその羽根を薄葉紙に貼り、正確にカットしてから、金属製のヘビのアップリケに設置します。文字盤に設置する際には、時刻や日付を表示する外周の窓に完璧にフィットします。
極度の小型化が求められる作業にあたり、既存の道具では不十分だったため、アーティストは針を加工して特製の極小メスを自作しました。さらに、ごくわずかな量の接着剤を点状に塗布できるよう、縫い針を改造しました。
リサーチや試作も含め、完成までに250時間以上にもおよぶ作業には、外科手術にも匹敵する精度が求められました。

ヘビの目は18Kゴールドとエナメルで作られており、動きのある構図の中で唯一の静けさを湛え、作品に安定感を与えています。また、芸術的なデザインの背後にタイムピースとしての機能が隠されていることを思い出させる、さりげないきっかけともなっています。
ダイヤルを彩る緑豊かな風景と響き合うように、カーフスキン製ストラップには、ダイヤルに描かれた草木を思わせる葉のモチーフがエンボス加工で施され、18Kホワイトゴールド製バックルが付いています。

ジュリアン・ヴェルミューレン インタビュー
――このプロジェクトで最も予想外だった課題は何ですか?
『作品のサイズが非常に小さいため、アプローチの方法を考え直す必要がありました。このプロセスには、全身に配慮して取り組まなければならないことに気付きました。最小の羽根のパーツは、1ミリにも満たなかったため、大きく息をするだけで飛んでいってしまう恐れがありました。心臓の鼓動ですら、手元にかすかな揺れをもたらすため、羽根を配置する際は、息を止める瞬間もありました。ヘビの制作が進み、頭の周りや目元の曲線が狭くなると、一つひとつのステップがさらに難しくなりました。極度の集中を強いられるため、1日あたり4時間以上は作業を続けられませんでした。』

――このプロジェクトは、あなた個人にとってどのような意味を持ちますか?
『このプロジェクトで、私はいくつかの「初めて」の経験を試みました。極めて希少で取り扱いが難しいロフォフォアの天然羽毛を扱うのは初めてでしたし、これほど微細なスケールで作業を行うのも初めてでした。制作過程で、幾度とプロジェクトを完成できるか自信がないと、ヴァシュロン・コンスタンタンに連絡をしたのを覚えています。素材について、自分ができると思っていた限界を超えていたからです。最終的に成功を収められたことは、私自身の限界だと思っていた枠を超えて挑戦できたという点で、誇りに思います。』

[ジュリアン・ヴェルミューレン]
ジュリアン・ヴェルミューレンは、フランスのクチュリエであるジャン=ポール・ゴルチエのアトリエで過ごした形成期に、羽根細工の魅力に惹きつかれました。そこで彼は、熟練した職人の手にかかれば、羽根は単なる装飾以上になりうることを実感したのです。フランスのリセ・オクターヴ・フイエで応用美術を専攻し、羽根細工を修得。2014年に自身の工房を設立し、失われゆく技巧の復興と刷新を目指しています。
メティエ・ダール 動物王国へ敬意を表して -タコ ガラス細工
円形のダイヤルを覆う夜の景色から、まるで空想の水中世界を漂うように浮かぶ透き通った小さなタコ。手作業によるギヨシェ彫りを施したゴールドのベースが背景となり、ダークブルーのコーティングが見る者を深海へといざないます。
全体に透明なガラスを使い、文字盤の上で入念に造形されたタコの厚みはわずか3.5mm。かつてないほど見事な仕上がりが目を奪う、極小のガラス細工です。伝統的に、サイズが大きくドラマチックな量感を表現することが多いガラス細工でこの完成度を達成するには、新しい技術の開発が不可欠でした。複雑な3Dのフォルムを繊細な2.5Dの細工として解釈し、最終的な審美性を綿密に実現できるよう、革新的なアプローチが特別に開発されました。その複雑な制作工程は、その複雑な工程では、微細なガラス棒を溶かし、タングステン製の工具で造形し、手作業を多用した3Dプリントに似た手法で、一つひとつ丁寧に作業を進めていきました。タコの触手や吸盤の一つひとつは、ミリ単位で少しずつ仕上げる必要がありました。これほど細いガラスの糸を再加熱すると、表面張力によって収縮し、小さな球体になってしまうからです。
このプロジェクトのために特別に開発されたタングステン製の工具を使用することで、細工のセグメント全体を溶かすことなくガラスに圧力を加え、顔や吸盤の細部まで精巧に表現できるようになりました。

透明なガラスを選択したことで、作業が一段と複雑になりました。ガラスは背後にあるものを拡大して歪めるため、厚さ、重なり、反射のすべてを注意深く考慮しなければなりません。だからこそ、美的調和を損なう歪みを避けるため、触手が互いに交差する様子を模倣した視覚的なイリュージョンが入念に構築されたのです。
ダイヤルの構造内に極小の細工を組み込むことも、課題の一つでした。
触手の2つの部分が、時、分、曜日、日付を示す4つの窓のすぐ上を通るのですが、その窓の高さは、ダイヤルの表面からわずか0.2mmです。この微細な制約が、タコの最終的な配置を決定づけることになりました。

開発プロセスは1年以上続き、初めて試作品が作られたのは2025年の春でした。それぞれの試作に、少なくとも3日の作業時間が必要でした。最終バッチには、動きがかすかに異なる4匹のタコが描かれ、そこから最終版を選定しました。
このタイムピースを手首に留めるために、ヴァシュロン・コンスタンタンはブルーのカーフレザーストラップをデザインしました。ダイヤルのモチーフに呼応するタコの触手のディテールがエンボス加工で表現されています。

シモーネ・クレスタニ インタビュー
――このプロジェクトで最も予想外だった課題は何ですか?
『間違いなく、作品サイズの小ささです。ガラス細工では通常、センチメートル単位で考えることが多く、時には大規模な作品制作をおこないます。しかし今回は、すべてが1ミリの10分の1単位でコントロールする必要がありました。過去の『ホモ・ファーベル』で展示されたヴェネツィア風ゴブレットを飾るミツバチなど、微細なガラス細工を手掛けたことはありましたが、このダイヤルに必要な顕微鏡レベルのスケールに匹敵するものはありませんでした。そのため、自分の技法を根本から見直し、すべての道具を調整する必要がありました。ダイヤルの範囲内で一つひとつのデ ィテールがはっきりと識別でき、いきいきとした印象を保ちつつ、タコには、彫刻的な存在感と、まるで水中に浮かんでいるような動きの感覚を与えたかったのです。』

――このプロジェクトは、あなた個人にとってどのような意味を持ちますか?
『このプロジェクトは間違いなく、私の経歴における転機となりました。ガラス細工に携わってきた25年間で一度も使ったことのない、新しい技術を開発する必要に迫られたからです。この経験は私の制作活動に新たな視点をもたらし、この知識を活用すれば、今後の作品においてさらに小さく、より精巧な要素を作り出せるのだと気づかせてくれました。これほど小さなものを制作することは、ガラス作家にとって最大の挑戦と一般的に考えられている大規模な作品制作と同じくらい、困難を極めることがわかったため、この作品を完成させることができたことを誇りに思います。』

[シモーネ・クレスタニ]
イタリア人のガラスアーティストであるシモーネ・クレスタニは、若い頃にガラス制作を始めました。彼はしばしば、ガラスという素材が自分を選んだと言及しています。透明なガラスを使った詩的な細工で知られるクレスタニは、ガラスという繊細でありながら丈夫という対照的な性質を熟知し、透明であるという本質を保ちながら、新たな形状を引き出せるよう可能性を広げています。植物と海の世界から深いインスピレーションを得て、光と輪郭の精緻さによって透明感を昇華させた彫刻作品を創作しています。
メティエ・ダール動物王国へ敬意を表して - エイ 折り紙
ダイヤルの上に浮かび、深海をなめらかに泳いでいるようなマンタエイの群れ。エイたちがゆったりと横切るダイヤルは手作業によるギヨシェ彫りをまとい、夜を思わせる深い青色を湛えています。体長はわずか5mmから10mmの様々なエイは、このプロジェクトのために特別に手染めされた日本製の紙を使って折られ、細い真鍮の軸に取りつけられています。その姿は、まるで水中を軽やかに浮遊しているかのような錯覚を与えます。
手作業でギヨシェ彫りをあしらったゴールドのベースに映える、海をモチーフにしたデザイン。深海を想起させるブルーのコーティングをまとい、サファイアクリスタルには海面の下で揺らめく光のようなモアレ効果が施されています。その結果、見る者を幻想的な海中の世界へといざなう作品が誕生しました。この構成では、時、分、曜日、日付表示がさりげなく情景に溶け込み、明確な視認性を確保しながら、詩的な雰囲気を保っています。
ダイヤルに描かれた海の風景とつながるように、ブルーのカーフレザーストラップには、流動感のある作品の印象に調和する波のモチーフがエンボス加工されています。

ダイヤルを彩る軽やかな光景の背後には、複雑な技術プロセスが隠されています。伝統的な折り紙では、職人はほかの達人たちが考えた既存の折り方を利用して、新しい形に応用することがよくあります。しかしながら、このプロジェクトの特殊な要件、特に極小のスケールという条件には、完全に新しい専用の折り方を考案する必要がありました。
この作品は、実際のエイの体つきや動きに関する綿密な調査を経て制作されました。写真や動画を分析して、この水生生物の姿や尾の比率、水中での動きを観察し、その結果を一連の折り方へと落とし込んだのです。
折り紙のマンタエイは、指、爪、爪楊枝の先端だけを使い、拡大鏡を使わずに折られています。たった9~12mmの紙を折り、完成品は約6~8mmです。

このプロジェクトにおける最大の課題の一つは色に関するものでした。本物そっくりのエイを再現するには、紙を特定の青い色合いに染める必要がありました。素材の紙の重量はわずか20グラムで、厚さは標準的なコピー用紙の約4分の1しかないため、いかなる加工を加えるだけでもその物理的特性が変化してしまいました。最終的に、染色工程によって紙はわずかに厚くなり、硬さも増しましたが、セルロースの添加によりある程度の柔軟性が生まれ、エイは鋭い幾何学的なエッジではなく、より柔らかく有機的な形状になりました。
2024年の夏に行われた最初の打ち合わせから、2026年にタイムピースが完成するまで、開発プロセスには2年以上の月日を要しました。エイのデザインは複雑なため、初期の作品を折りあげるまでに6時間かかることもありました。

アーニャ・ミドリ インタビュー
――このプロジェクトで最も予想外だった課題は何ですか?
『実際、大きな課題が2つありました。1つ目は、エイの制作そのものです。折り紙では通常、ほかの職人が考案した既存の折り方を使いますが、このプロジェクトでは独自のモデルを最初から発明しなくてはなりませんでした。私は、本物のエイのプロポーションや水中での動きを理解するために写真や動画を長い間研究し、その観察結果をもとに折り方を考案しました。ときどき、夜中やスタジオから離れた場所で、不意に解決策を思いつくこともあり
ました。
2つ目の大きな課題は紙でした。私がいつも使っている日本製の紙で手に入る青系の色は、このプロジェクトに適したものではなかったため、水、天然セルロース、アクリル顔料の混合液を使い、初めて自分で紙を染色する実験をしなければなりませんでした。紙は極度に薄いので、どんな染料を使っても、その挙動、厚さ、柔軟性が変化します。そのため、適切なバランスを見つけるのに長い時間がかかりました。』

――このプロジェクトは、あなた個人にとってどのような意味を持ちますか?
『おそらく、私のこれまでの折り紙のキャリアの中で最も重要なプロジェクトです。すでに完成されたアイデアを単純になぞるのではなく、初めて創作工程のごく最初から関与しました。新しい折り方を開発し、紙の染め方を実験したことで、技術面だけでなく、個人的にも多くを学ぶことができました。
このプロジェクトのおかげで、最初は不可能に思えても、可能にする方法が必ずあると信じられるようになりました。ヴァシュロン・コンスタンタンとの協働によって自信がつきました。メゾンは、私が自分の任務を遂行できるか自信が持てない時にはさらなる高みを目指すよう絶えず私を励まし、あらゆる段階で私の力を信頼してくれました。このプロジェクトを終えて、これほど格式高いメゾンが求める品質基準を満たせたことは、私にとってこの上ない誇りです。

[アーニャ・ミドリ]
ドイツに拠点を置くアーニャ・ミドリが極小折り紙の存在を知ったのは10年ほど前のことですが、この分野で最も発明の才に富む人物として急速にその地位を確立しました。ミドリにとって、紙を折ることは完全な集中と細部への徹底的な注意力を要する瞑想のような作業です。たとえ隠れてしまう場所であっても、目に見える表面と同じ配慮で仕上げることで、折り紙は理想的な完成形となります。
メティエ・ダール 動物王国へ敬意を表して -トラ 刺繍
ハチミツやミカンのようなきらめく色合いをまとったトラが、ダイヤルの上で、植物が鬱蒼と生い茂る架空のジャングルを堂々と闊歩しています。この風景は、時計製造では珍しい金線刺繍という技術によって完成しました。
このネコ科の猛獣には、9K イエローゴールドとホワイトゴールドの刺繍用ワイヤーを使い、トラの毛皮の特徴である温かみのあるオレンジのトーンとホワイトのディテールが表現されています。縞模様には、銅のベースにセラミックをコーティングした特別開発のブラックのワイヤーが使われています。これらの素材を組み合わせることで、彫刻のような質感とドラマチックな明暗の対比を持つトラに仕上がりました。
トラを囲む緑豊かな景色は、グリーンの絹地に刺繍されています。英国の絹製造会社に依頼した特注品で、このプロジェクトにふさわしい特製の色に染められています。トラを縁取る草はさまざまな色合いの日本製の絹糸で一つひとつ縫われており、植物の動きを再現するために質感を出す織り技法が使われています。
絹地の土台は、なめらかさと張りを確保するよう設計されたチタン製のダイヤルプレートに縫い付けられており、刺繍を支えるために絹地と綿地が重ねられています。特注の針は0.25mmという細さで、金属の糸を使って縫うために特別に開発されました。

9Kゴールドを採用したことは、技術面における大きな革新でした。伝統的に、金線刺繍はごくわずかな割合のゴールドを含む金メッキワイヤーを使いますが、このプロジェクトのために、メゾンはより高級感のある貴重な素材の開発を目指しました。ゴールドの含有量が高くなると金属の柔軟性や性質が変わるため、ゴールドをねじったり巻きつけたりするなど刺繍用ワイヤーとして加工するには、まったく新しい小型の工具を開発する必要がありました。極めて細いゴールドの刺繍用ワイヤーを製造するため、英国の専門業者の協力を得て、特製の工具が考案されました。
柔らかさと、構造を維持できる堅さの適切なバランスを達成するまで、何度も試作が繰り返されました。刺繍そのものにも高い精度と正確性が求められます。トラの体は、手作業で一本ずつ切断されたゴールドワイヤーの断片で構成され、それぞれの長さは1mm未満です。深みと表情を与えるため、目だけでも10種類の異なる色合いを持つ絹糸が使われています。作業中に絹地を完璧な状態でピンと張っておけるよう、特別な刺繍フレームが設計されました。これほどまでに小さな作品では、ごくわずかな動きも構造の歪みにつながるからです。

タイムピースの技術的な制約は、制作工程に大きな影響を与えました。
刺繍はダイヤルにぴったりなサイズでなくてはならず、扇形の表示窓に合わせて配置する必要があります。さらに、その上にはカーブしたサファイアクリスタルが設置されています。最も厚い部分でも、刺繍の高さが約3~4mmを超えることは許されません。これは、従来の微細な金線刺繍に適用される厚さの約半分に相当します。
このコラボレーションの最も複雑な要素の一つは、ムーブメントの機能に影響を与えることなく、時計の構造部分に直接刺繍を施せるよう、穴のあいたチタン製ダイヤルを特注で開発したことです。穴の配置を正確に決定するため、何度も試作が繰り返されました。
最終的なダイヤルの制作には、専用の枠に絹地を張る準備から、内部の詰め物の作成、ゴールドワイヤーの切断と成形、トラとジャングルの風景の刺繍、そして最後にその作品を穴のあいたダイヤルプレートに取り付ける工程へと、開始から完成までに約210時間の作業時間を要しました。
このタイムピースには、ホワイトゴールド製バックルが付いたカーフスキンストラップが付属します。ストラップにあしらわれた植物モチーフのエンボス加工は、トラの背景としてダイヤルに描かれた木々の茂るジャングルに呼応するものです。

ローラ・バヴァーストック インタビュー
――金線刺繍を時計のダイヤル上に表現するうえで、最大の技術的な課題は何でしたか?
『このプロジェクトは最初から最後まで、未知へと踏み出す挑戦でした。私は普段は動物の顔を描写しますが、ヴァシュロン・コンスタンタンから、動物の全体像をとらえ、動きのある姿を表現するという課題を与えられました。これには、野生動物の写真やドキ ュメンタリー映像を用いた綿密な調査が必要でした。
ヴァシュロン・コンスタンタンからは、可能な限りゴールドの含有量の高いワイヤーを使うようにとの要望もありました。何度も実験を繰り返した後、これまでに使ったことがなくても、9Kゴールドなら問題なく扱えることがわかりました。そのうえ、今回の作業の舞台は、それまでに創作経験のあった最小の作品に比べ、約半分の大きさしかありません。そのため、極小のゴールドワイヤーや極細の針など、プロジェクトのためにまったく新しい素材を製造できるよう特注の工具を開発する必要がありました。
もう一つの大きな課題は、時計という厳密な制約に刺繍を組み込まなければならない点です。具体的には、ダイヤルの上にあるカーブしたサファイアクリスタルや、表示窓に合わせた正確な配置などです。絹地がごくわずかに動いただけでも、最終的な仕上がりに歪みが生じます。』

――このプロジェクトは、あなた個人にとってどのような意味を持ちますか?
『このプロジェクトのおかげで、刺繍を芸術作品のレベルにまで高めることができました。刺繍は伝統的な工芸ですが、ヴァシュロン・コンスタンタンが技術的な面で私をこれほどまでに鼓舞してくれたおかげで、このコラボレーションを通じて、まったく新しいレベルに到達できたと感じています。私は昔から、「創造性は、奔放な心と鍛え抜かれた目から生まれる」という言葉が大好きです。 私にとってこのプロジェクトは、私の創作プロセスを特徴づける、芸術的な革新性と刺繍という技術的な規律とのバランスを完璧に体現したものです。』

[ローラ・バヴァーストック]
ローラ・バヴァーストックは英国王立刺繍学校の卒業生であり、ワーシップフル・カンパニー・オブ・ゴールド&シルバー・ワイヤ・ドロワーズの会員でもあります。大胆なシルエットと細部への徹底的なこだわりを通じて、伝統的な縫製技法を現代的なデザインに取り入れ、独自の視覚的表現を確立しています。イラストと自然界から深いインスピレーションを受けた彼女の作品は、映画の衣装や有名なファッションメゾンの作品に使われています。
メティエ・ダール 動物王国へ敬意を表して - ワニ ペーパーアート
タイムピースのダイヤルの上で、雪に覆われたような植物の間から真っ白なワニが姿を見せます。まるで氷の彫刻のように見えますが、実際はすべてが白いコットン紙で作られています。250gと300gという2種類の厚さの紙を使い、エンボス加工、レーザーカット、手作業による組み立てを統合し、微細な紙の彫刻を施して誕生した作品です。繊細なレリーフと奥行きのあるグラデーションを生み出しているのは、高さわずか3mmの層状構造。また、単色の表面を滑るように流れる光の効果があらゆる輪郭を際立たせ、構図の複雑さを一層引き立てています。

このプロジェクトには、数ヶ月におよぶ実験と、特注のエンボス加工用工具の開発が必要でした。ワニの鱗や周囲の植物が彫り込まれた真鍮製の版を60~70°Cまで加熱した後、紙の上に強い圧力をかけて押し付け、細部の微細な精度を保ちつつ、起伏と立体感を生み出します。
ワニには、生命力を感じさせる彫刻的な印象を与えるために十分な高さが必要でしたが、ボリュームがありすぎるとダイヤルの技術的な制約を損なってしまいます。これほど小さなスケールの場合、葉の表現が抽象的になりすぎて視覚的に判別しにくくなる恐れもありました。植物を認識できる状態を保ちつつ、写実的ではない洗練された審美性を維持できるよう、複数のエンボス加工用工具や圧力の調整、幾度もの試作を通じて、徹底的な検証が行われました。
紙の選択も同じように重要でした。綿密なテストを経て最終的に選ばれたのは、酸を含まない白いコットン紙でした。その紙目、坪量、ビロードのような質感が、高い圧力がかかるエンボス加工の工程でも、破れたり反ったりすることなく仕上がることを実証しました。

プロジェクトの全工程でスケールの小ささに由来する課題がありましたが、素材の複雑な性質を考慮し、かつダイナミックな奥行きを出すという要望を叶えるには、革新的な解決策が必要でした。天然繊維の紙の選定には細心の注意が払われました。これらの紙は繊細な質感を持つ一方で、ほつれやすい特性があるため、取り扱いが難しいのです。素材の微妙なニュアンスを克服し、ダイヤルにいきいきとした生命力を吹き込むため、アーティストは厳選した紙を丹念に重ね合わせました。繊細な陰影効果と彫刻のような印象的な存在感を生み出し、この情景に命を吹き込むうえで、要素の精密な重なり、特にワニの大きさや位置の微妙な差異が非常に重要でした。
時や日付を表す4つの窓は作品に溶け込み、ワニが自然にそれらの間に自然に潜んでいるように見えます。タイムピースには、グレーのカーフレザーストラップが付属。ダイヤルの視覚的な特徴である葉のモチーフが、ケースを超えてストラップにもあしらわれています。

マリアンヌ・ゲリー インタビュー
――紙で作られた極小の彫刻を創作するうえで、技術的および芸術的な最大の課題は何でしたか?
『最大の課題は、ごく小さなスケールで、これほどまでの精度と細部までを表現することでした。天然繊維の紙は縁にバリや凹凸を生じやすいため、裁断が特に難しいことがわかりました。パートナーシップを結ぶヴァシュロン・コンスタンタンが、制作過程を通して私のチームと私自身を支援してくれたことは、計り知れないほど貴重なものでした。メゾンは、超精密レーザー切断の専門家と私たちを結びつけ、おかげで高級時計製造に求められる精緻な仕上がりを実現することができました。本当に驚くべきことは、これほど小さなペーパーアートが、実際にはこれほど多くの人々の研究と努力の結晶であるという事実です。私のアトリエ、メゾンのチーム、そしてすべての専門の職人や技術者の皆さまが、このプロジェクトが抱えた数多くの技術的課題を解決するために携わってくださいました。』

――このプロジェクトは、あなたにとってどのような意味を持ちますか?
『このプロジェクトは、私が長年にわたり抱き続けてきた夢の実現です。私はいつも時計製造に魅力を感じ、時計製造の世界に紙を取り入れることを想像してきました。ヴァシュロン・コンスタンタンから連絡をもらったとき、まるで運命のように感じました。スイスのメゾンが、紙が持つ芸術的な可能性の模索を選んでくれたことも、私にとって大いに意味があります。ヨーロッパでは、紙はしばしば単なる媒体と見なされ、もろい素材であると思われることも多いです。しかし、私は自身の作品を通じて、常にそうした固定観念に挑んできました。このプロジェクトを通じて、紙が真の芸術形態として、高級時計の世界に参入し得ることを証明することができました。』

[マリアンヌ・ゲリー]
パリ在住のマリアンヌ・ゲリーは、特徴的な彫刻、大規模なインスタレーション、精緻なデザインで知られ、すべて紙を使って制作しています。元々は工業デザインを修得したゲリーは、紙という素材の可能性を探るために自身のスタジオを創立。エンボス加工、折り紙、レーザー裁断、多層構造などを組み合わせ、光と影を巧みに操った作品を生み出しています。その作品は、白い紙に彫刻的な存在感を与え、紙の脆さに関連する従来のイメージを覆すものです。
メティエ・ダール 動物王国へ敬意を表して -ハヤブサ ウッドマルケトリー
迫力のあるハヤブサがダイヤルを支配する、立体的なウッドマルケトリ ーを用いた実験的な作品。燻し加工を施したユーカリや濃い青色に染めたバーチなど、独特の杢目、質感、色合いを持つ12種類の異なる木材を用いて制作されたこの鳥には、羽の細部や重なり合う質感を忠実に表現し、いきいきとした動きを生み出すために、手作業で立体的に造形し、質感を与える技法が使われています。
ハヤブサは、同心円状のモチーフによる抽象的な背景の上で、今にも飛び立ちそうな姿を見せています。この背景は、ハヤブサの魅力的な存在感を際立たせると同時に、木材が持つ視覚的・触覚的な豊かさを称えるものです。
この作品の写実性と視覚的な奥行きは、3つの異なるマルケトリー技法を用いて実現されました。背景には家具製作から応用された円形のマルケトリーが用いられ、 ハヤブサの体には、伝統的な平面のマルケトリーの発展形として、複数のベニヤ板をサンドイッチ状に組み立てた後、手作業で彫っていく彫刻的な層状のマルケトリーが用いられています。そして翼には、特別に開発された羽根ごとの組み立て技法が用いられています。

この小さなスケールでは伝統的な木工の道具を使えないため、外科手術で使用されるような精密なマイクロツール、日本と米国から調達した微細な超硬カーバイド刀、工房で手作業で組み立てられた特注の研磨器具など、精密な小型工具が導入されました。大半の作業が双眼顕微鏡を使って行われ、従来使われていた手法を再調整する必要がありました。

このプロジェクトは高さがわずか3mmというごく小さなサイズのため、困難を極めました。たとえば、繊細にカーブした羽根を持つ翼はダイヤルのベース上に浮かぶように張り出し、羽根の先端はガラスに触れるぎりぎりの位置にあります。これほど小さなスケールでは、多くの種類の木が脆くなり、繊維質が強すぎて精密なディテールを表現できなくなります。そのため、色だけでなく、構造的な特性、密度、そして微細なスケールでの彫刻的な加工に耐えられる性質も考慮して木材を選定する必要がありました。

時、分、曜日、日付を示す4つの窓は構成の不可欠な要素となり、制作の初期段階から想定されたように、このデザインが持つ彫刻的なリズムに組み込まれています。
タイムピースには、ブルーのカーフレザーストラップが付属。ストラップには、ダイヤルの視覚的な特徴の延長として、ストライプのモチーフが施されています。

アンナ・ル・コルノ インタビュー
――このプロジェクトの主要な課題は何でしたか?
『最大の課題は、これほど限られた空間の中で立体感を生み出すことでした。大型家具や彫刻作品への細工には慣れているため、広い表面を活用してレリーフを彫り、素材の自然な質感や特徴を強調することができます。より広い意味でいうと、私の作品では常に、木材の天然の杢目を強調しながら、鮮やかな色になるよう染色を施した木材を組み合わせています。大型の作品では見てすぐに杢目がわかり、鑑賞者は木材という素材の魅力を存分に堪能できます。小さいスケールの場合、これがぐっと難しくなるのです。しかし、ヴァシュロン・コンスタンタンが興味を持ったのは、木材にこのような彫刻的アプローチを用いて、時計のダイヤルという極小のスケールで再現することでした。これを実現するために、自分の工具と技巧を完全に考え直す必要がありました。また、双眼顕微鏡を使って作業をすることにも慣れる必要がありました。高度な専門器具を調達したり、カスタムメイドの工具を自分で作る必要もありました。
天然の木材種と、鮮やかに染色した木材の適切なバランスを見出すことも不可欠でした。染色された木材は目を引き、天然素材の美しさを際立たせます。これほど小さいスケールでは、あらゆるディテ ールで木材の豊かさと質感を表現しなければなりませんでした。』

――このプロジェクトは、あなたにとってどのような意味を持ちますか?
『最も魅力的なのは、素材、つまり木材との対話です。このプロジェクトのおかげで、木材をさらに深く理解することができました。彫刻や実験を繰り返すにつれ、木材のまったく新しい可能性をもっと見出せるようになりました。頭の中で技術的に可能だと思えたアイデアが、実際に現実でもうまくいくという感覚を常に抱くことができ、刺激的なプロセスとなりました。いざ実行してみると、その結果に良い意味で驚かされることが多かった。予想外の効果が生まれ、さらに多くの可能性が開かれたのです。
こうした実験的な取り組みは、最終的な仕上がりに到達するまで、プロセス全体を通じて続きました。そういう意味では、私にとって特に実りが多く、刺激になったプロジェクトでした。』

[アンナ・ル・コルノ]
建築を学んだアンナ・ル・コルノは、パリの名門工芸学校エコール・ブールで学び、木工技術を専門とし、研究を深めました。彼女は、木材の表現の可能性を探求し、古来のウッドマルケトリー技法と現代性を融合させた現代家具、彫刻作品、装飾品を通じて注目を集めています。その詩的でありながら高度な技術力を兼ね備えたアプローチが評価され、パリが主催するグランプリ・ドゥ・ラ・クレアシオンの新人部門で賞を受賞しました。
自然への賛美
ヴァシュロン・コンスタンタンにとって、自然や動植物は装飾モチーフの着想源にとどまらず、観察から生まれる芸術へと導く力です。そのために目と心を常に開いた状態に保ち、好奇心と革新の精神を絶え間なく育んできました。
メゾンの歴史を彩るいくつかの印象的な例を見ると、動物というモチーフがいかに職人たちを刺激し、歴史の中で培われた職人技や美意識の適応と発展をもたらしてきたかがわかります。彼らはしばしば複数の技法を組み合わせて装飾性を高め、人々の手首の上でこれらの野生生物を鮮やかに蘇らせてきました。
リファレンス 10200(1826年)
18Kイエローゴールド製懐中時計。エナメルとジェムストーン(ターコイズとアメジスト)を用いたレリーフ装飾、ブラックのエナメルを施したヘビ、シルバーダイヤル、12個のローマ数字、外側にミニッツトラック。17リーニュの鍵巻き上げ式ムーブメント。

リファレンス 10200、1826年
この見事なタイムピースはちょうど200年前に作られたもので、19世紀初期の優れた職人技を示す見事な例です。
まさにこの頃、ヴァシュロン・コンスタンタンが芸術的な技巧(メティエ・ダール)を用いた装飾付きのタイムピースを多数発表していた時期であり、この分野における専門知識と創造性が結集しています。
リファレンス 10556(1910年)
宝石をあしらった「スカラベ」ペンダントウォッチ、18Kイエローゴールド製、ダイヤモンドとルビーをセットしたグリーンとブラックのエナメルの翅、ホワイトエナメルのダイヤル、エナメルを施したアラビア数字。RA(7リーニュ)手巻きムーブメント。

時刻を隠したペンダントウォッチはアールヌーヴォー期に絶大な人気を博し、目を見張るようなタイムピースが生まれました。翅を広げると小さな円形のダイヤルが現れ、時刻を確認できるスカラベもその一つです。エングレービングによる装飾も圧巻で、ウォッチケースには昆虫の形態が細やかに再現されています。

リファレンス 10222(1923年)
18Kイエローゴールド製の懐中時計。中国のラッカー仕上げが施され、中央にはアールデコ調の鳥が描かれてい
ます。ダイヤルには12個のアラビア数字、外周にミニッツトラック。16リーニュの手巻きムーブメント。

ヴァシュロン・コンスタンタンは、1879年からフランスでの代理人を務めたフェルディナンド・ヴェルジェや、後にヴェルジェ・フレールのブランドを率いたその息子たちとの関係を深めました。そして、アジアの文化や、古代エジプトおよびギリシャの装飾芸術からインスピレーションを得て、アールデコ様式を体現する数々の見事なタイムピース(懐中時計、腕時計、ブローチ、置時計)を生み出しました。このタイムピースでは、アジアの芸術に敬意を表し、繊細な中国のラッカー仕上げが用いられています。

リファレンス 11022(1996年)
18Kイエローゴールド製腕時計。ヒンジ付きケースバック、エナメル加工でシロサギを描いたゴールド製ダイヤル。自動巻きムーブメント1120。
ヴァシュロン・コンスタンタンはジョン・ジェームズ・オーデュボンの著書『アメリカの鳥類』に敬意を表し、1996年に10種類ほどのモデルを揃えたシリーズを発表。シャンルヴェとミニアチュール技巧を用いたエナメル加工が施され、各タイムピースは原著の図版から1種の鳥類を再現。1990年代中頃、メゾンは先駆的な取り組みとして、「メルカトル」やJ.J.オーデュボンに敬意を表した「メティエ・ダール・フロリレージュ」シリーズなどのタイムピースを通して、高級時計製造におけるグラン・フー・エナメルの復活を牽引しました。

メティエ・ダール - レ・ユニヴェール・アンフィニ(2011年)
18Kホワイトゴールド製腕時計。18Kゴールド製ダイヤルには、マウリッツ・エッシャーによるテセレーションと呼ばれる芸術表現から着想を得たモチーフが描かれています。エングレービング、レッドと虹色にきらめくベージュのグラン・フー・エナメル、手作業のギヨシェ彫りが施され、1羽のハトには40個のダイヤモンドが施されています。自動巻きムーブメント2460。

ヴァシュロン・コンスタンタンにおける芸術的技巧を施した時計の進化を象徴する「メティエ・ダール - レ・ユニヴェール・アンフィニ」コレクションには、エングレービング、ギヨシェ彫り、エナメル、ジェムセッティングというメゾンが誇る4つの装飾技術が結集しています。職人たちの才能を現代的かつ壮麗な表現で明らかにし、デザインと装飾工芸の領域を新たな高みへと押し広げています。
レ・キャビノティエ・トゥールビヨン・ジュエリー - タツノオトシゴ(2022年)
74個のサファイアをグラデーションで施した、18Kピンクゴールド製腕時計。タツノオトシゴを表現した18Kゴールド製ダイヤルには、ギヨシェ彫り、エングレービング、クロワゾネ・エナメル、ジェムセッティングという4つの芸術的技巧が組み合わされています。トゥールビヨンを搭載した自動巻きムーブメント2160。ユニークピース。
ヴァシュロン・コンスタンタンが2022年に「レ・キャビノティエ」シリーズの限定版のために選んだ写実的テーマである「 レ・ロワヨーム・アクアティック(水の王国) 」シリーズでは、絶えず新たな着想の源であり続ける動植物の世界への愛着を表現しています。ここでは、メゾンが発明した、ギヨシェ彫りにおける稀有な熟練技を通じて、その想いが表現されています。

【技術データ】
メティエ・ダール - 動物王国へ敬意を表して
[特徴]
時計製造における技術革新:新しいアプローチを通じて、時計製造における職人技の未来を育むプログラム。
ミニアチュール:これまでにない意外な素材と技巧でダイヤルの奥行きを表現した6つのコンセプトウォッチ。
自然への賛美:それぞれのタイムピースの着想源となった動物の世界。
[共通]
ムーブメント: 2460 G4(機械式自動巻き)
・22Kゴールド製ローター、職人技への敬意を表し、職人が用いる道具から着想を得たモチーフを手作業でエングレービング
・ムーブメントサイズ:直径 31mm(11 ¼リーニュ)/厚 6.05mm
・パワーリザーブ 40時間
・4ヘルツ
・部品数: 237
・石数: 27
・表示 時、分、曜日、日付を4つの窓で表示
メティエ・ダール - 動物王国へ敬意を表して -ヘビ(羽根細工)
リファレンス :7630A/000G-H206

ケース:18Kホワイトゴールド
・ケースサイズ:直径 42mm/厚 12.9mm
・サファイアクリスタルのシースルーケースバック
・防水機能 3気圧
文字盤:ガチョウとロフォフォアの羽根を用いた羽根細工による構造
・稀少なロフォフォアの羽根7枚から切り出された200の小さなパーツを薄葉紙に貼り付け、コーティングを施した真鍮製のベースに設置
ストラップ:グリーンのカーフレザーストラップ
・植物をモチーフにしたエンボス加工の装飾
・バックル:18Kホワイトゴールド製バックル
メティエ・ダール - 動物王国へ敬意を表して -タコ(ガラス細工)
リファレンス:7630A/000R-H205

ケース:18K(5N)ピンクゴールド
・ケースサイズ:直径 42mm/厚さ 12.9mm
・サファイアクリスタルのシースルーケースバック
・防水機能 3気圧
文字盤: 手彫りのギヨシェ彫りが施されたカラーコーティング18K文字盤
・透明なガラスを手仕事で細工したタコ
ストラップ: ブルーのカーフレザーストラップ
・タコの触手をモチーフにしたエンボス加工の装飾
・バックル 18Kピンクゴールド製バックル
メティエ・ダール - 動物王国へ敬意を表して - エイ(折り紙)
リファレンス: 7630A/000G-H204

ケース :18Kホワイトゴールド
・ケースサイズ:直径 42mm/厚 12.9mm
・サファイアクリスタルのシースルーケースバック
・防水機能 3気圧
文字盤: 手彫りのギヨシェ彫りが施されたカラーコーティング18K文字盤
・極小折り紙で作られた6匹のマンタエイを異なる高さで真鍮製の軸に取りつけた構造
・モアレ効果を施したサファイアクリスタル
ストラップ: ブルーのカーフレザーストラップ
・水をモチーフにしたエンボス加工の装飾
・バックル 18Kホワイトゴールド製バックル
メティエ・ダール - 動物王国へ敬意を表して -トラ(刺繍)
リファレンス: 7630A/000G-H207

ケース: 18Kホワイトゴールド
・ケースサイズ:直径 42mm/厚 12.9mm
・サファイアクリスタルのシースルーケースバック
・防水機能 3気圧
文字盤:グリーンの絹地と綿地のベース、日本製の絹糸を使った刺繍
・9Kイエローゴールドとホワイトゴールドの糸を用いた刺繍のトラ
・ブラックの縞模様にはセラミックでコーティングした銅製ワイヤーを使用
・目は絹糸による刺繍
・真鍮製ベースをコーティングした構造
ストラップ:グリーンのカーフスキンストラップ、葉をモチーフにしたエンボス加工の装飾
・バックル 18Kホワイトゴールド製バックル
メティエ・ダール - 動物王国へ敬意を表して -ワニ(ペーパーアート)
リファレンス:7630A/000R-H202

ケース:18K(5N)ピンクゴールド
・ケースサイズ:直径 42mm/厚 12.9mm
・サファイアクリスタルのシースルーケースバック
・防水機能 3気圧
文字盤: ホワイトのコットン紙の背景
・ワニのモチーフ:フレームなしのエンボス加工を施した白いコットン紙(厚さ300g)
・葉のモチーフ:エンボス加工を施してカットした白いコットン紙(厚さ250g)
・真鍮製ベースをコーティングした構造
ストラップ: グレーのカーフレザーストラップ、葉をモチーフにしたエンボス加工の装飾
・バックル 18Kピンクゴールド製バックル
メティエ・ダール - 動物王国へ敬意を表して - ハヤブサ(ウッドマルケトリー)
リファレンス: 7630A/000R-H203

ケース:18K(5N)ピンクゴールド
・ケースサイズ:直径42mm/厚 12.9mm
・サファイアクリスタルのシースルーケースバック
・防水機能 3気圧
文字盤:12種類の木材を使ったウッドマルケトリー:杢目入りバーチ、トチ(スポルテッド)
・レースウッドシカモア、ジリコテ
・イエローペアウッド、チューリップウッド、トネリコ、バーチ、マドロンバール、スモークユーカリ、スモークオーク、プラタナス
・手彫りのディテール
・真鍮製ベースをコーティングした構造
ストラップ:ブルーのカーフレザーストラップ、ストライプのエンボス加工の装飾
・バックル 18Kピンクゴールド製バックル
【お問い合わせ】
Vacheron Constantin
TEL:0120-63-1755(フリーダイヤル)
[ヴァシュロン・コンスタンタン]
1755年に設立されたヴァシュロン・コンスタンタンは、270年以上にわたり継続して生産を行っている世界最古の時計マニュファクチュールであり、何世代にもわたる熟練の職人を通じて、時計製造の卓越性と洗練された様式の誇りある伝統を忠実に受け継いでいます。
メゾンが製造する時計は、控えめで気品豊かなスタイルに高級時計の素晴らしい価値が体現され、その一つ一つに、最高峰の職人技と極めて高度な仕上げを施し、ヴァシュロン・コンスタンタンならではの技法や美意識が表現されています。ヴァシュロン・コンスタンタンは、コレクションを通じて、比類ない伝統と革新の精神を実現しています。「メティエ・ダール」、「パトリモニー」、」「トラディショナル」、「オーヴァーシーズ」、「フィフティーシックス」、「ヒストリーク」、「エジェリー」はメゾンを代表するコレクションです。
また、「レ・コレクショナー」のヴィンテージウォッチや、「レ・キャビノティエ」部門を通じてユニークピースを提案する貴重な機会を時計愛好家に提供しています。
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